日本語教師の勉強記録

関西での日本語教師勉強会やセミナーでの勉強内容。

JLPTを子どもへの日本語教育の現場に使うことの危険性

(そうか。このブログは勉強会記録でした。)

今回はJLPTに関して書きます。

今は子どもたちの日本語教育に関わっているのですが、ある資料の中に「N◯合格」という文字を見つけました。子どもってまだ年齢が一桁代の子どもですよ。

確かにJLPTは年齢制限がないと聞いたことがあります。
しかし、コロナの影響で今年の7月のJLPTは中止になりました。これは何だ?と思って質問してみたら、N◯相当の日本語能力だと判断したとの意味での合格でした

 

この試験に関してよく知っている方なら、もう頭の中は「??????」ってなっていると思います(笑)こどもが?語彙は?まさかみん◯をそのまま?漢字は?低学年だったら先行学習!?会話能力はどうやってはかった?私の頭の中はごちゃごちゃになっていました(笑)

もちろんつっこんで聞いてしまいました。

「会話能力についてはこの試験でははかれませんが、会話能力は含まれないのですか?」と聞いたら「授業についていけるかどうかで判断します…」!?!?

JLPTって生活言語の日本語能力をはかるにはいいと思うのですが、

子どもたちには学校生活独自の語彙がかなり必要だと思うんです。

文型だって、日本語ネイティブの子どもでも使わないような文型がJLPTの中では頻出だったりしますが、それは一体どのように扱われているのでしょうか。

私の日本語教師のキャリアはまだ浅いのですが、それでもJLPTに関しては離れたくても離れられないものだったので、この「N◯相当」と「N◯合格」と表記することと、それをさらに物差しのように使うことの危険性はよく分かります。

 

その危険性に気づかれていないのかもしれませんが、

だったら独自の基準を作ってもいいと思うんです。

4技能別で、学校に特化したもので。

試験の名前を出してさらに合格なんて書くから、頭がパニックになるんじゃないですか。ねー…!

日本語教育の必要性だって最近ようやくマスコミにも取り上げられるようになりましたが、みなさん、何かしら物差しがほしいのか、専門外の方からはよくデータを見せてくれとおっしゃられます。

 

例えば、何か月勉強したらどれぐらいのレベルに達するのか。

試験に合格したら何ができるのか、

テキスト◯課まですれば、どんな日本語が分かるのか…などなど。

数字でも時間でもないんです。

聞かれるたびにそう答えますが、それじゃあ困ると言われます(笑)


今回の資料を見て思ったのは、
日本語教育に関わるならJLPTがどんなものかを知っておくのはどの現場でも必要じゃないかと。それを物差しに使うかどうかもそこで判断されたらいいことです。独自の基準を作るのも、Can-doを参考にするのもありだと思います。
要は、その場にあったものを使って誰かに聞かれたときに納得してもらえるような説明ができることが大事だと思うんです。

自分が担当している現場だけ見るのではなく、日本語教育のいろんな現場を知るべきだとも思いました。

こどもの日本語とは言っても、その保護者の背景は様々で保護者自身も日本語で困っていることが多いでしょう。そんな視点で考えていくことは子どもへの日本語教育につながると考えています。